第74章 貸し借りだな

有川紘樹は、パーティーがどう終わったのかも覚えていなかった。佐伯薫を送り届けると、そのままハンドルを切り、佑奈のマンションへ直行する。

佑奈はちょうど、小林グループとの打ち合わせを終えたところだった。指先の感覚だけで、パソコン脇に置きっぱなしになっていた茶に触れる。――もう、とっくに冷めている。

ひと口含んだ瞬間。

玄関から、パスコードロックがこじ開けられる乾いた破裂音がした。続けて、氷の刃みたいな足音。男の気配が、部屋の温度を一段落とす。

有川紘樹がリビングの中央に立っていた。スーツは乱暴に引っ張られ、肩が崩れている。もともと冷たく硬い眉目が、今夜は露骨な怒りに染まり、視線は凍てつ...

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